応援団員からのメッセージ
川上一郎

(かわかみいちろう)
JA鳥取県食農教育支援センター理事長

農作物は食育の先生 

  最近の食育運動とその内実にギャップを感じる。目的と手段の取り違えともいえよう。「農業体験さえすればよい」という風潮もそのひとつである。いうまでもなく、農業体験は食育にとってすばらしい手段であることには間違いない。しかし、手段はあくまでも目的にまで届くものではなければならない。

  そこで、私は「農作物は食育の先生(食育大使)」という考え方にたって、農作物から何をどのようにして学び取るかについて調査研究中である。つまり、目的と手段を結びつけた体験学習方法の確立である。「農作物に学ぶ食育体験手法とそのポイント」(仮題)とし、教育的視点から、まず主要野菜から取り組んでいるところである。ぜひ、ご指導、ご教示を賜りたい。参考までに、その基本的な考え方は、次のとおりである。


  食育とは、平たく言って「いのち」と「こころ」の問題であり、目指すところは「人間力」であるといえる。その内容は、健康や栄養につながる「食べる」ことから「しつけ」、さらには「伝統や文化」など広範にわたる。  言葉だけで「命を大切にしよう」「感謝しよう」などと教えても限界がある。また、一過性のイベント体験では十分とはいえない。重要なのは、実効性を高めることだ。

  いうまでもなく、農作物は気の遠くなるほどの年月を経て、各地域の環境に適応し、精巧な「生きる力」を宿している。だから、食育の教材としての力もたくさん持っている。「規則正しいメカニズム」や「過酷な環境に耐え抜く性質」などがそうである。

  まずは、「生命活動」に学ぶという視点で、農作物を選ぶのがいい。そして、農作物に対する子ども達の関心を高め、農作物の「命」を体験してもらうためにどう活用するかを追求したい。

   農作物を教材として考えた時、見て学ぶものや触って学ぶもの、育てて学ぶもの、食べて学ぶもの、さらに、その農作物にまつわる生活文化など、テーマはいろいろである。それらを知識ではなく、五感で感じ取れるような体験学習の実践を考えることが大切である。