【講座内容】
8月4日
・食農教育で地域に根ざした学校づくり 講師:伊澤良治(山形県・二井宿小学校校長)
・おばあちゃんの料理教室―おやき、ソバ 講師:池田玲子(長野農文協・右写真)
8月5日
・学校農園のうんちく講座 講師:堀内寿郎(長野農文協)
・廃棄物利用による栽培学習パワーアップ術 講師:竹村久生(静岡県・佐久間中学校教諭)
・「虫見枠」で学校円が10倍楽しくなる 講師:瀧沢郁雄(ひと・むし・田んぼの会)
・一品もちより わたしのとっておき食農アイテム:アイデア大集合
8月6日
・教えて堀内先生!学校農園の栽培計画づくりQ&A 講師:堀内寿郎(長野農文協)
・暮らしの達人のおばあちゃんを味方につけよう 講師:池田玲子(長野農文協)
参加者は、小学校の先生を中心に、北は山形県、南は佐賀県など各地から来てくださいました。今回は、講師陣も現役の小学校の先生がお二人。現場体験に基づく話と実習が、参加者を大いに勇気づけていたようです。
★食農教育で地域に根ざした学校づくり

山形県置賜郡高畠町の二井宿小学校校長である伊澤先生(左写真)からは、二井宿小と前任の和田小での地域を巻き込んだ食農教育の実践活動についてお話をいただきました。お話のなかで、「子どもたちの一生懸命な姿や教師の真剣な想いが地域を動かしていくのだ」と繰り返し語られていたのが印象的です。また、最後に「食農教育は実践の積み重ねも大切だが、体験で終わらせるのではなく、その体験を通した『学び』について意義付けしていくことが重要であり、この農業体験と知的学習を結び付けられるのが先生たちの役割なのだ」と力強く述べられました。
★食農アイデア授業のヒントが大集合
静岡県浜松市の佐久間中学校教諭、竹村先生は、とてもパワフルに栽培学習について、たくさんの情報発信をしてくださいました。先生の学級では、ベランダでプランター代わりの発泡スチロールをつかった栽培学習を行っていて、工夫ひとつで農家も驚くような立派なキュウリやトマト、メロンまでもつくってしまいます。キュウリは「緑のカーテン」として、緑化や教室内の温度を下げることに貢献しています。「もぎたては甘い」と子どもたちにも大人気。そうした子どもたちに感動を与える栽培の授業実践に、土のない都会の学校の先生方は「なるほど。これは目からウロコ」と熱心に耳を傾けていました。また、参加者にはブロッコリーの種や卵パック、イチゴのペットボトル栽培の道具が配られ、2学期に向けた秋野菜づくりのヒントにしてほしいということでした。
2日目の夜には、一品持ち寄りの食農アイデアとして、参加者の皆様から「超簡単パンづくり」「匂いで感じる」「家畜を授業に取り入れる」「郷土の漬物づくり」という4つの実践が報告され、有意義な情報交換ができました。
★田んぼの生き物から見える豊かな農村空間
春は裸地、夏は湿地、秋は草原、冬は裸地と変化する田んぼの環境。そこには、カエルやヤゴ、タニシなど豊かなそして多様な生態系が存在しています。この生物の多様性こそが田んぼの環境に安定性をもたらしています。
「ひと・むし・田んぼの会」の瀧沢先生(右写真背中)は、そんな座学と「虫見枠」という道具を使って、田んぼで生き物調査の実習をしてくださいました。「虫見枠を使うことで意識的に田んぼの生き物を観察できるが、それによって何が見えてくるかというねらいを、授業できちんと押さえておいてほしい」と先生方にアドバイス。
水を張った田んぼ(8月の田んぼは水を落として中干しするのが一般的ですが、今回の生き物調査のために特別にこの時期まで水を張っておいていただきました)に素足で入った参加者の方たちは、タニシやナカムラオニグモなど、さまざまな生きものを発見していました。
★上滑りしない食農教育のために
講座の最後に、池田玲子先生から、「都会の先生に伝えたい、農業・農村からみえる食農教育」についてお話ししていただきました。今までは、「技術」(栽培・農学など)や「生体」(健康・栄養など)の側面で語られることが多かった「食」ですが、本来は生産から消費まで一連のつながりがあり、食農教育では、「このほかに「経済」(需給・食糧経済学など)や「食生活」(食習慣・民俗学など)の側面も加えた「複眼的」な視点で捉えていかないと、子どもたちに伝えなければならない「食文化」の本質の部分が隠れてしまうということを、強調されていました。例えば「ソバ」一つとっても、世界は広がります。ソバのタネの形は三角すいで、斜面でも芽を出すこと、ハレとケの食としてのソバ切りやソバガキ、自給率や栄養素ルチンについてなど、そこにはさまざまな切り口があります。生産から食卓まで、すべての暮らしのなかで食と農に関わってきた農村女性、池田先生のお話は、参加者に「上滑りしない食農教育のためには、暮らしの視点も見据える必要がある」と感じさせたようです。
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