●巻頭特集 尿素で減農薬
探せ!クスリを減らせる混用![]()
作物を元気にすれば
病気に強くなってクスリは減らせる
――「作物を元気にする混用」を集めてみました『砂糖を混ぜて減農薬』コーナーより
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ブドウ糖の混用でバラのスリップスが消えた
河合正信さん。日持ちがよいと評判のバラ
(赤松富仁撮影)愛知県田原市・河合正信さん
ほとほと困っていたスリップス
バラ農家がもっとも神経を使う害虫といえばスリップス。河合正信さんもほとほと手を焼いていた。殺虫剤は週に一度、多いときには3日に一度くらいかけていた。
「スリップスは体にクスリがかからないと死なないもんだから、花の中に潜ってるやつらは駆除できない。そのうち、花びらに茶色のシミがついちゃって出荷もできなくなるんです」
砂糖を舐めに寄ってくる!?
砂糖(上白糖) あるとき、河合さんはスリップス退治の秘策を耳にした。それは、殺虫剤に砂糖を混ぜるというものだ。甘い砂糖を舐めに寄ってきたところで、クスリも一緒に舐めさせるおびき寄せ作戦。半信半疑でやってみた。
翌日、花を上から覗いてみてびっくり。ちょうど真ん中にある花びらのてっぺんにスリップスが数匹死んでいたのだ。散布したときはまったく姿が見えなかった場所だから、花の中へ潜っていたやつらがおびき寄せられて出てきたに違いないと思った。
劇的!いなくなったスリップス
以来、河合さんは殺虫剤には必ず砂糖を入れるようにした。効果はテキメン。ハウスの中ではスリップスの姿が見えなくなってきた。砂糖を混ぜるようになって5年、最近はスリップスの防除の必要もなくなってしまったくらいだ。
スリップスがいなくなったのは、通路に米ヌカをふったせいもある。湿気があると米ヌカをふったところはすぐにカビが生えてくる。スリップスは幼虫が地面へ落下して、地表面で蛹になるので、米ヌカのカビと一緒に蛹も発酵してしまったのではないかと河合さんは考えている。
砂糖+殺虫剤で確実に密度を減らしつつ、米ヌカの土ごと発酵で蛹をやっつけるダブル効果。
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ミカンキイロアザミウマ。成虫の体長は 1.5mmほど(写真提供:愛知県農業総合試験場)
▲花が大好き
▲蕾がほころぶころに中に忍び込む
▲花の奥はクスリの届かない安全地帯ブドウ糖を500倍で混ぜるだけ
河合さんが使っている砂糖とは、じつはブドウ糖。同じ糖類でも溶けやすく、「作物の栄養剤」にもなるからだ。農協や肥料店で売っているそうで、20kg4000円くらいの業務用。
このブドウ糖を500倍に薄めて殺虫剤に混ぜる。散布するときは、動噴の噴口を上に向け、雨を降らせるようにサーッと早歩きして、上向きに咲くバラの花の中に殺虫剤を届ける。
キクの蕾がほころみはじめたところ。この時期にアザミウマが蕾の中へ侵入し、花弁を吸汁する。写真は長野の露地ギク 展着力も出る 葉っぱのテリもいい
また、ブドウ糖は展着剤代わりにもなるというのが河合さんの見方だ。
糖分を殺虫剤に混ぜると少し粘り気が出る。ネバネバの薄い膜をつくるので、クスリが乾きにくいというわけだ。スリップスが発生しやすい夏場は温度も高いので、かけたそばから殺虫剤が乾いていくが、粘り気があるおかげで乾きが遅く、効果も持続する。
もうひとつ、ブドウ糖は葉からもすばやく吸収されるので、散布したあとは葉のテリもよくなるそうだ。
――いま考えると「前にあれだけ苦労していたことは何だったんだろう」と思ってしまう河合さんなのである。
三温糖を使う人もいる
河合さんが使っているのはブドウ糖だが、同じ渥美のキクやバラ農家では、やはりスリップス退治のために三温糖を使う人もいる。砂糖の混用は知る人ぞ知る裏技で「企業秘密」という人も多いが、こっそり教えてもらったのは「三温糖は白砂糖よりミネラルがあって溶けやすい。倍率は500〜1000倍がちょうどいい」ということ。たしかに効果はあるそうだ。
この記事の掲載号『現代農業 2010年6月号』特集:尿素で減農薬 探せ!“クスリを減らせる混用”
◆尿素で減農薬◆木酢を混ぜて減農薬◆砂糖を混ぜて減農薬◆海水を混ぜて減農薬●直売所農家の混植畑防除●米ヌカ&えひめAI 防除にも大活躍●石灰で防除革命 進行中・困った病害虫対策相談室 2010年版 ほか [本を詳しく見る]