チェーン除草機どんどん進化中
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無除草剤稲作をグンと身近に
してくれた感のあるチェーン除草。
どうやら挑戦する人の数だけ、器具の種類もありそうだ。
「これなら軽い!」「一気に引ける!」「安い!」……
自慢の機械・器具、たった一年でここまでくるとは、
農家の工夫はやっぱりスゴイ。![]()
昨年5月号掲載の宮城・長沼太一さんのチェーン除草の動画が、ルーラル電子図書館でご覧になれます(http://lib.ruralnet.or.jp/)。
「浮くチェーン除草器」をつくった
田んぼに入らず、2人でアゼから 引っ張り合いも是永 宙
女房に申し訳ない日々……
無農薬の米づくりを始めて6年目になりますが、毎年手作業による除草に大変な労力がかかっていました。山仕事もしていたので、実際には女房がかなり頑張ってくれていました。炎天下、女房に除草作業をさせてしまっているのが申し訳なかったです。
4年前から高島市内の篤農家の集まり「たかしま有機農法研究会」に参加しました。研究会では田んぼやその周りの環境を整えて、多様な生きものとの共生を目指し、無農薬有機農業を実践しています。一昨年、その会の研修会でチェーン除草の存在を知り、メンバーが試作したチェーン除草機の効果を見て、やってみよう!と思いました。
浮かせれば軽い!
研究会の仲間がつくった除草機は田植え機に取り付ける形のものでした。1枚の圃場が3反以上もあるような平野部の田んぼだと、人力で除草機を引っ張るのは大変ですし、機械をターンさせるとき苗を踏みつけても、割合からすればごくわずかです。
ところが私の住む椋川は中山間地なので田んぼは小さく不定形。1反もない圃場も少なくありません。田植え機で入れば苗を傷める部分が多くなってしまいますが、逆に小さい圃場なので、人力でもできそう。そこでどうすれば人力でラクに除草器を引っ張れるかを考えたのです。
閃いたのが、「除草器を浮かばせればいい!」。除草器を引っ張るときは必ず水をたっぷり(10cm以上)入れて作業します。だったらその水に浮かせてしまえば軽いし、イネも傷みにくいのではないでしょうか。
除草器の作り方……塩ビパイプで「浮き」をつくる
「浮上式チェーン除草器」の構造
3本の塩ビ管を、初めは針金やスチール製の金具などでまとめていましたが、使っているうちに「へ」の字形に曲がってしまいました。軽くて丈夫な物はないか、とホームセンターを歩いていると、台所の壁に「お玉」などを引っかける格子状のもの(「キッチンフックラック」というらしい)を見つけました。これを寸法に合うように半分に切断して、塩ビ管を固定する骨にしました。両側にヒモをつければ、アゼに立ったまま2人で引っ張りあいっこできる(撮影のため、冬期湛水中のイネのない田んぼで実演!) まずは塩ビパイプとチェーンで「縄のれん」状のものをつくります。これは「現代農業」で紹介されているもの(2009年5月号)でいいと思いますが、浮かせるためには軽量化を図る必要がありました。心棒はできるだけ軽くするために塩ビパイプ。パイプ中に補強のための木の棒を入れています。鎖の間隔は3cmに1本(長さは約30cm)です。
「浮き」の部分も塩ビパイプです。長さ2m直径5cm程度のもので、両端を耐水性のセメダインで接着すれば水も入りません。「浮き」で「縄のれん」の心棒を挟むようにします。これで十分な浮力を得ることができます。
初めは縄を一本つけて、背負うように引っ張ろうとしていたのですが、両側に1本ずつ20mくらいのロープを取り付けて両方から引っ張れば、田んぼに入る必要もない!と思い、今の形になりました。これで田んぼには一歩も入ることなく、除草作業ができます。小さいコナギが浮かんできますよ。じつに快感ですよ!
夫婦でおしゃべりしながら引っ張り合い
2人で作業する場合は、田んぼをはさんで両端のアゼに立ち、除草器がこちら側に着いたら約1.5m(鎖がついている部分の幅は1.8m)ずらして、今度は相手が引っ張ります。同じ所を何度もする(何往復もする)必要はないと思いました。片道でも十分だと思いますが、心配なら一往復すればよいでしょう。引っ張る速さにもよりますが、1反1時間程度です。イネもチェーンに押されて倒れますが、1〜2日で元のように立ち上がります。
チェーンをかけた直後はイネはこんな有様だが、2日もあれば元通りになる 田植え1カ月後 田植え2カ月後。昨年は、おかげで草に悩まされずにすみました 小さな田んぼの両岸で引っ張るので、夫婦(仲間)でおしゃべりしながらできます。水の抵抗があって腕は疲れますが、今までの腰をかがめての除草に比べればウソのようで、労力ははるかに小さいといえます。もともと夫婦仲はいいですが(のろけでスミマセン)、この除草器のおかげで除草作業が楽しみになり、さらに仲良くなったことはいうまでもありません!(トラロープをつけていますが、長時間していると手が痛くなったり手の皮がむけるので、ゴム手袋は必需品です)
効果は思いのほか上がりました。今まで手作業で5〜6回除草していた田んぼが、チェーン除草のみ(移植後6日目以降1週間おきに4回)で左の写真のような状況です。
トロトロ層が効果を高める
しかし「チェーン除草器だけ」では、残念ながら除草効果はあまり上がりません。効果を上げる田んぼの条件があるようです。
田面が硬いところでは、何回やっても無駄です。1回代かきの仲間の田んぼでやってみましたが、チェーンで土を攪拌できなかったのか、何度やってもコナギは浮いてきませんでした。時々土が表面に出てしまうような水深の浅い場所も、やはり草が繁茂してしまいました。
チェーン除草がうまくいくには、
・1回代かき。1回目の代かきで草のタネを表面に上げ、いったん発芽させてから、2回目の代かきで草を埋め込む。これで草の密度がかなり減る
・その際、雑草を発芽させるために、水温を高く保つ工夫
・冬期湛水したり、米ヌカ、おからなどを田植え直後に撒いて、表面にトロトロ層を形成
・活着の早い元気な成苗(四葉以上)。最後の代かきのあと、可能なら5日以内に一回目の除草をしたい。そのためには活着の早い苗を用意できるかがポイント。活着しないうちに、チェーン除草器を引っ張れば当然イネも抜けてしまう。
などが必要です。
また、チェーン除草はオモダカ、ホタルイなどの宿根性の雑草には効果がありません。これらの草は見つけ次第手で抜くしかないように思います。
(滋賀県高島市今津町椋川)
この記事の掲載号『現代農業 2010年5月号』稲作チェーン除草機/畑の草にカルチ/果樹の受粉 ほか。 [本を詳しく見る]
『現代農業 2009年05月号』農文協 編 甘いレタスのためにエダマメをつくる鈴木三兄弟の話/マメ科草生・マメ科マルチで自給菜園豊作!/北海道赤クローバ事情/今年こそ始めよう疎植稲作/ムギ混植畑のオクラは農薬激減/草踏みでくだものをおいしく/ほか [本を詳しく見る]
『現代農業 2008年05月号』農文協 編 月のリズムと作物のリズム 播種は満月三日前!? 防除は大潮!? 条抜き田植えで簡単手取りアップ ●イネを傷めない初期除草法 ●花のキラキラ加工 ●牛のオスメス産み分け術 ●どんどんよくなる果樹の小力草生栽培 ●【新連載】もっと香りの生きるお茶 ●地域でつくる貸し農園 ●にっくきモグラをやっつけろ ●農家の借金 [本を詳しく見る]